プロジェクト(グローサラント)

グローサラント
業態開発プロジェクト

日本のスーパーマーケットの新しい姿として、
マスコミでも大きく取り上げられた成城石井の「グローサラント」。
それは1人の社員のアイデアから始まった。

プロフィール

外食事業課

水野翔太

前職は調理師。入社後、精肉部門や惣菜部門を経て、成城石井初の飲食業態「Le Bar a Vin 52(LBV)」ではメニュー開発を担当。今回のプロジェクトではリーダー的役割を担った。

ワインバーにするか、定食屋にするか。

東京・調布駅前に新しくできる、駅隣接型ショッピングモール「トリエ京王調布」への成城石井の出店が決まった。店舗開発部門が確保した売場面積は過去最大級。その広さを活かして調布店を単なる売場にせず、何か飲食業態と組み合わせた新しいものにしようという方針は決まっており、外食事業課の水野もそのプロジェクトメンバーの1人として悩んでいた。 社内では様々な意見が出た。すでに展開しているワインバー「Le Bar a Vin 52(LBV)」の簡易版がいいという声。LBVが洋食なのだから次は和食中心の定食屋をやったらどうかという声。シンプルにイートインにしてはどうかという声。共通していたのは成城石井の食材を使うというということだ。

売場側から見た成城石井トリエ京王調布店。広い売場の奥に今回開発した食事エリアが隣接している。

グローサラントを見にアメリカへ。

そんな中、2017年6月に社内の選抜メンバーによるアメリカ視察旅行が行われる。これは2027年に100周年を迎える成城石井の次期幹部候補育成プログラム「SIDream2027」の一環で、全社から参加希望者を募り、試験に合格したメンバーの中に水野もいた。
現地視察の研究テーマを設定するにあたり、水野は「グローサラント」のキーワードを選んだ。これはスーパーマーケットを表す「グロサリー」と「レストラン」の造語で、アメリカの先進的なスーパーマーケットが取り入れている新しいスタイルだという。もちろんこの選択は調布店の課題をふまえたもので、事前に経営企画室長の宍倉とも綿密にテーマや日本での課題感をすり合わせた上で決定した。

売場側で販売する惣菜や弁当も、厨房で製造する。そのオペレーションも業態開発時の課題のひとつ。

日本人向けで、成城石井らしいコンセプトを。

「しかしアメリカで見たグローサラントの第一印象は、正直『こんなものか』でした。売場で量り売りの惣菜を買ってドリンクサービスを受け、食事スペースでそれを食べる。日本で展開するには日本人の文化に合わせたローカライズが必要だと思いました。(水野)」
そして、帰国した水野が考えたコンセプトは「成城石井の最高の食材を気軽に体験できる、売場に近いレストラン」。ポジションはイートインとLBVの間ぐらい。場所柄、子供から大人までが楽しめる黒毛和牛のハンバーガーを中心にカレー、ステーキ、ハンバーグ、ピッツァ等の洋食を提供することにした。もちろん食材はすべて安全・安心な自家製または自社輸入品。新たに「レシピカード」を用意し、気に入ったメニューの食材を店で買い、自宅で再現できるよう工夫する。

メニューに使っている食材の売場では「レシピカード」を配布。材料や作り方を詳しく説明している。

コンセプト決定。しかしやることは山積。

2017年7月、水野のコンセプトは経営会議で採用された。しかし、調布店のオープンまで3ヵ月もない。ここからが本当の勝負所である。
「決めなければならないことが山積みでした。メニュー提案、厨房関係を私が担当し、フロア側やドリンクメニュー、設備面、接客は外食事業課の四方課長が担当。同じ厨房を使う店内製造の惣菜については商品本部の野澤チーフが担当しました(水野)」
他にも全部門、多くの社員が準備に関わった。中でも看板メニューとなるハンバーガーは何度も試作を繰り返し、バンズ開発では戸梶製造本部長が、黒毛和牛のパティ開発では商品本部の横山部長、精肉課の増島課長、「SIDream2027」メンバーでもある精肉課の留野スーパーバイザーが水野を後押しした。

ハンバーガーを軸にメニュー展開。調理時間も考え薄めのパティをダブルで提供。オリジナルバンズと合う!

マスコミも注目した調布店、いよいよオープン。

「一番苦労したのは企画が固まるまででしたね。目指すべき姿をいかに全員で統一するか、という点でした。新しいことをやるときには正解がないから、気を抜くと軸が簡単にぶれる。リーダーとして信念を持つことが求められました」と語る水野。経営企画室室長の宍倉の協力も得て徐々に社内の意識がまとまりだすと、準備も加速していった。
軸が固まった「成城石井のグローサラント」を、コーポレートコミュニケーション室は五十嵐室長を中心に社外に発信した。その反響は大きく、中にはオープン前の準備期間から追跡取材させてほしいと言ってきたTV局もあった。こうして全部署が力を合わせた新業態、「SEIJO ISHII STYLE DELI&CAFE」は2017年9月28日、オープンを迎える。

提供スタイルは広さやコストを考えてセルフ形式を採用。最高のメニューをお手頃価格で。

成城石井の新たな武器が誕生。

オープン日は想像を絶する状況になった。お客様が何百メートルも行列をつくり、TVは連日その様子を取り上げた。また同業他社らしきビジネスマンも多く来店し、写真を撮ったりメモをとったりする姿を見てその反響の大きさに驚きを隠せなかった水野。「本当にうれしかった反面、多くの課題も残してしまいました。失敗から学んだことは改善してきます。これで完成形というわけではなく、まだ始まったばかりなのです」。
売場との連動を狙って何百枚も用意したレシピカードはあっという間になくなり、その影響は着実に売場にも出ている。スーパーマーケットとレストランを組み合わせたこの新業態は、成城石井の新たな武器のひとつとして、さらに進化していくであろう。

オペレーションなど、改善すべき点があればすぐに現場で指示を出す水野。止まらないことが大切だ。

「チャレンジ」は成城石井のDNAだ。
本当にこだわった、
おいしい、安全・安心な食品をお客様に提供・提案していくために、
どんな方法・スタイルがあるか。既成概念を超えて、チャレンジし続ける。