他にはない品揃えを特徴とする成城石井では、成城石井のこだわりに合致した商品を考え、ストーリーのある商品を世界中から探します。商社任せにはしません。自分の目で確かめ、味わい、いくらだったら売れるのか、どのくらい売れそうか、バイヤーの責任で買い付けます。仕入れた商品の売上責任まで持ちますから、私たちは品質・コスト・物流体制など納得いくまで仕入先と交渉します。バイヤーは商品の目利きであると同時に、シビアな事業家である必要があるのです。
新規メーカーとの商談日が月に2回程度。その他に既存のお取引先様との商談もあり、そこで日本中から様々な提案を受けています。また、国内外のさまざまな食品展示会や、海外の展示会にも参加し、魅力的な商品を探します。メーカーの工場を視察した際に、地元店で珍しい商品を発掘することもあります。 実は、ほぼ毎日何らかの新しい商材が店頭に並びます。話題性のある新商品は、週に1度のペース。バイヤーは常に新しいモノを見つけだそうと必死。それだけに自分が関わった商品が売れた時は本当にうれしいですね。
私が商品部に来て、初めて開発を担当した、成城石井オリジナルの納豆です。私の担当である乳日配部門(牛乳、乳製品、豆腐、漬物など比較的賞味期限が短い食品群)も、今でこそオリジナル商品は多数ありますが、当時はまだまだ少なく、納豆も初めてオリジナルに挑戦するという状況。人気の既存ブランドもある中、「本当に自分がつくった納豆が売れるのだろうか」と、発売当日まで不安な気持ちを抱いていたことを覚えています。その日はたまたま出張に出ていたのですが、気になって本部に電話したら「売れ行きが良くて、全然足りてない」と言われ、ホッと胸を撫で下ろしました。かつて働いていたルミネ大宮店に行ったとき、一緒に働いていたスタッフから「この納豆、堀江さんがつくったんですよね。すごいですね」と声を掛けられたとき、達成感を得たのを覚えています。
なんと言っても、店舗経験は欠かせませんね。売場でどう陳列したら売れそうか、どんな方が買っていかれるのか、その時の「画」まで思い浮かぶかどうかは大きいと思います。また、商品には「このパッケージだと店頭に並べた時に破損しやすそうだ」「小型店のバックヤードにはストックできないな」といった運用面でのリスクもあります。大量に仕入れたけど店に置けない、では大問題です。店舗勤務があるからこそ分かることは、皆さんの想像以上に多いと思いますよ。
私が今注目しているのは、高い栄養価の果実、アサイーです。最近では耳にしている方も多いかもしれませんが、まだまだ一般的ではありません。成城石井でもすでにドリンクとしては販売していますが、違う角度からも商品開発をして広く一般に届けられないかと考えているところです。卵、納豆、豆腐、オリーブ、生ハム、ベーコンなど、成城石井らしさを代表するさまざまな商品群。そこにアサイー。可能性は充分にありそうです。(2012年10月現在)