SUPERMARKET 成城石井

RECRUIT ホンモノへの意志。

2016年度新卒エントリー
2017年度インターンシップエントリー

プロジェクト「物流改革」 【新物流センター構築プロジェクト】おいしいものをより早く、より低コストで店頭に届ける。会社の成長に欠かせない大規模プロジェクト。

拡大し続ける店舗数に対応した物流センターへ。

新物流センターを開設する以前は、計3つのセンターで物流を担っていた。しかし出店戦略と物流センターの状況を照らし合わせると、キャパシティ以外に機能面でも古くなってきており、さらなる物流の効率化とサービスレベルの向上が課題として浮き出てきた。そこで3つのセンターを1ヶ所に統合するという大規模プロジェクトが始動する。それを主導で進めてきたのが物流戦略部の田口だ。「プロジェクトとしては2011年9月頃からスタートしましたが 、私の構想としてはすでにその4年程前から『どうにかしなければいけない』という想いはありました。しかし、会社の成長速度や取引先との関係など周辺の状況を見ながら進め、極力リスクを少なくすることが大前提でしたのでその時は『機が熟した』という感じで経営陣に提案をしました」と語る。

物流センターに通関機能を持たせた。通関前の荷物には「外貨」の紙が。

大きな挑戦とは、大きな投資でもある。

投資額も大きいため、当然ながら経営陣の説得には時間がかかった。初めは「無理だ」と田口の提案はなかなか通らない。しかし各種データ、将来へのメリット、第三者の客観的視点など、社内だけでなく外部の協力も仰ぎながら、さまざまな角度から粘り強くアプローチし、取締役会での承認にこぎつける。そこには“このプロジェクトを進めなければ、この先、会社の成長は鈍化してしまう。今後の継続的な成長に絶対に必要だ”という田口の信念があった。「大きなことをやるには反対意見が必ず出ます。でもそれをやり通す信念をもっているかが不可能を可能にするうえで欠かせないことです」プロジェクト開始前の山場、取締役会を乗り越えることで、社長の後押しも受け、プロジェクトは一気に走り出した。

天井裏には最新鋭の空調設備が。赤い帯のすき間から最適な空気が部屋に広がる。

全部署を巻き込むプロジェクト。

物流センターが変わるということは、各部署のそれまでの業務にも変化があるということだ。たとえば店舗なら商品の発注・納品時間。バイイング部門なら取引先への説明。情報システム部門ならセンター一元化に必要なシステム構築など。プロジェクトスタート後は毎週、各部署でミーティングを行い、新物流センター開設に向けた準備をしていった。初めは不安げな表情を見せていた社員たちもミーティングを重ねるごとにこの新物流センター立ち上げの意義を理解し、それぞれが高いモチベーションで準備を進めた。同時に普段は自分の業務領域しか見ていない社員が、新物流センターを通して事業戦略に関する知識を深め、視野を広げられる良い機会にもなった。プロジェクト終盤には、新物流センター開設に「ワクワクする」という声が多く聞こえた。

自動で移動する収納ラック。限られたスペースを効率的に使うための投資だ。

当社の強みである輸入ワイン。最新の保管環境を整える。

新物流センターの大きな特徴は、ワイン・チョコレートなどの定温定湿管理が必要な商品を保管できる最先端技術を投入したことにある。これは今回のプロジェクトで社長、田口が特に注力した点だ。倉庫事業を手掛ける日立物流様と組んでオーダーメイドの定温定湿、ドライ、チルド、冷凍の倉庫を開発。特に定温定湿倉庫は今までになかったシステムを導入。日本最高レベルの倉庫につくりあげた。田口の他、海外ワイナリーの倉庫に詳しい東京ヨーロッパ貿易(グループ会社)の代表、他社のワイン倉庫に詳しい卸売営業部部長、メーカー・卸業者の酒倉庫に詳しい商品部酒販課課長など、各部門から専門知識を持った社員の協力のもとで調査を行い、大手電機メーカーの力も借りて新システムを開発した。当社では生産年、産地、品質に応じて寝かせて販売している。それを最先端倉庫によって、商品をより美味しい状態で提供できる商品管理を実現した。 さらにワインの保管という点では、輸入通関まで倉庫内で行える仕組みにした。ワインは温度変化に影響を受けやすい商品。今までは港から大黒ふ頭での通関を経て、厚木にあるチルドセンターを経由して店舗に納品していたが、輸送回数を減らすことで振動によるストレスを軽減。振動によりワインが空気と触れ合うことで起こる「酸化劣化」が進むのを抑えている。

定温定湿のエリアには、ワイン100~130万本が最高の状態で保管されている。

新物流センターへの100万本のワインの移管。

新物流センターはワイン150万本を保管できる倉庫を備えているが、前センターにも100万本以上が保管されており、移管のスケールも大規模だ。リーファートラック(定温用トラック)10t車を30台以上使った。時期は3月であったのでドライ用のトラックでも品質保持は不可能ではない。しかし、そこは成城石井。コストをかけてでも万全の策をとった。たった一日で品質が変わることはないが、移管方法までこだわりをもち、お客さまのことを考えた。 そして店舗への出荷、卸部のお取引先への出荷が滞ることのないように、酒販課課長、商品部在庫管理課主任を中心に綿密な移管計画をたてて実施。二人のコントロールによって最小限の負荷で移管を完了させた。

トラックと倉庫の搬入口のサイズをあわせ、中の冷気が逃げないように工夫。

サービスレベルを向上させながらコスト圧縮にも成功。

2012年4月、新物流センター開設。それから半年足らずですでに大きな成果を得た。まず配送スピードだ。週末も稼働するため、発注の翌日には届く(以前は港湾管轄内の倉庫だったため土日祝は稼動していなかった)。それによって鮮度の高い商品を常に届けられる体制ができた。またこれまでも24時間体制で稼働していたセントラルキッチンの体制を見直し、物流網を組み変えて「できたて」をより多くの店舗に配送する体制も構築した。さらに欠品率も大幅に改善。人件費の面でもコスト削減につながり、この段階では期待以上の成果につながっている。

こうして完成した新物流センターは、今後の成城石井の成長を支える核として機能するだろう。 重要なのは、社員の想いが集まってこれだけのセンターをつくり上げたことだ。何かを成し遂げるために何が必要か、そのヒントを感じてもらいたい。

  • 田口 太機

    田口 太機
    物流戦略部 部長代理
    新物流センターの必要性を早くから見抜いていた物流戦略のプロ。このプロジェクトの発起人として、立ち上げの全工程に関わる。
  • 寺口 信生

    寺口 信生
    東京ヨーロッパ貿易(株) 社長
    日本でも数少ないワイン醸造技術管理士(エノログ)のひとり。ワイン醸造のプロの視点から、新物流センターの立ち上げに関わる。