あまり知られていないのですが、成城石井は開発・輸入した商品を他のスーパーや小売店、レストラン等の飲食店にも卸すことをやっています。いわば「商社機能」ですね。私は小売店向けの営業担当として、大手スーパーや地方の密着型スーパーにアプローチをかけています。扱う商品はとくに限定されていません。ワインやチーズ、生ハム、チョコなど、輸入品から国産品まで、その店のビジネスに貢献できると思う商品を提案しています。
自信のある商品ばかりとはいえ、「どれも良い商品だから買ってください」というゴリ押しは通用しません。お客様の展開する売場に適した商品は何か、しっかり吟味します。アポイントの前には必ず店に行って売場の状況や品揃えをチェック。店舗で売場づくりをしていた経験や、バイヤーとして商品提案を受ける側だった経験をもとに、「この商品をこう販売することで、きっと売場がもっと魅力的になりますよ。一度試してみませんか?」と提案をしていきます。
お客様に販売実績データを元にした提案をできることです。先ほど「商社機能」と言いましたが、成城石井は商社と違って実際の店舗を持っています。しかも路面店・駅ナカ店・オフィスビルのテナントなど、店舗のパターンも様々。その中からお客様の店舗規模・立地などに似た店舗をピックアップし、品揃えや売場づくりの成功ノウハウなどデータの裏付けとともに説明すると、納得していただきやすいのです。美味しい商品だけでなく、信頼性の高い情報を提供できるのは大きな強みです。
お客様の中には、成城石井に対して「競合」「ライバル」というイメージを持たれる方がいらっしゃる点ですね。いかに成城石井の「商社部門」であることを認知していただくかが、取引拡大スピードのカギを握ると言えるでしょう。
バイヤー時代は自社の繁栄を考え、今は他社(お客様)の繁栄を考えている。立場が180度変わったことに最初は正直戸惑いました。そんなときに立ち返ったのが、経営理念である「食にこだわり、豊かな社会を創造する。」の言葉です。ライバル視されることもあると話しましたが、エリアやコンセプトが違えば成城石井は必ずしもお客様の競合になるわけではありません。むしろ、世の中に本当においしい商品を提供する「同志」になれるはずだと考えられるようになりました。私はお客様とそんな関係を築いていきたいと思っています。